今日から詠み人。「俳句で見つける、あなただけの季節。」

春の匂い、夏の眩しさ、秋の静けさ、冬の澄んだ空気。
その一瞬のきらめきに、ふと心を奪われたことはありませんか?

その一瞬のきらめきに、ふと心を奪われたことはありませんか?

俳句は、そんな「感じたこと」をそっと形にする、小さな詩のカタチです。
難しそうに思うかもしれませんが、いちばん必要なのは、あなたの中にある素直な感性です。

この記事では、俳句を一度も書いたことのない方にも、
「どうやって始めるか」「どこを見つめればよいか」わかりやすくご紹介します。

あたらしい季節の楽しみ方として、俳句という“言葉の旅”を始めてみましょう。

俳句は「気づき」を詠むもの

俳句は“感受性の器”です。

日常の中で「きれい」「おもしろい」「ちょっと切ない」そんな心の揺れに気づくことが、俳句の出発点です。あなたが感じたままを、短い言葉でそっとすくい上げてみましょう。

小さな感動が、俳句の種になる

俳句に必要なのは、大きな出来事ではなく、日々の中に潜む小さな感動です。たとえば、庭に咲いた一輪の花、ベランダに落ちた雨粒の音。そうした小さな気づきが、俳句の始まりです。「これは句になりそう」と思った瞬間を、メモに書き留めておくのもおすすめです。スマホのメモ機能を使っても良いでしょう。

自分だけの視点が、句に個性を宿す

同じ桜でも、人によって感じ方は違います。誰かの視点ではなく、「自分がどう感じたか」に目を向けることが、俳句を生き生きとさせます。

俳句例 1

桜降る 子のランドセル まだ大きく

桜の花吹雪の中の入学式でしょうか。ランドセルがお子さんよりも大きく見えるくらいな新品なのかな?これからの成長が楽しみな心温まる俳句ですね。

基本のかたち「五・七・五」と「季語」

五・七・五の俳句のかたち

俳句には、守るべき“かたち”があります。

それが「五・七・五」のリズムと、「季語」と呼ばれる季節の言葉です。

このふたつを理解することで、あなたの俳句は一気に“詩”としての力を持ちはじめます。ルールは、表現を縛るものではなく、むしろ自由を広げてくれる道具なのです。

「五・七・五」は日本語のリズム

俳句は、五音・七音・五音の17音でできています。短いからこそ、言葉を選ぶ感覚が研ぎ澄まされ、シンプルな表現に深みが生まれます。このリズムに耳を傾けると、日常の中の音や光の変化に敏感になって、感じることが楽しくなっていきます。

「季語」が風景に季節を添える

俳句には基本的に「季語」を入れます。季語とは、その季節を象徴する言葉です。
たとえば「桜」「蛍」「柿」「雪」など、自然に寄り添うことで、たった17音でも深い時間や空間を感じさせられます。WEB上で検索すると、春・夏・秋・冬・新年の季語を集めた便利なデータベースもたくさんあります。まずは、自分の好きな季語からイメージを広げてみましょう。

俳句例 2

雪しずく 屋根より溶けて 昼となる

季語「雪しずく」で、冬の終わりの空気感が伝わります。

「書いてみる」ことがいちばん大事

うまく詠もうとせず、とにかく一度書いてみることがなによりも大切です。

俳句に正解はありません。「こんな感じかな」ではじめることで、言葉と心の距離が自然と近づいていきます。

毎日のなかでふと思いついたことを、まずは言葉にしてみましょう。それが最初の一歩です。

うまく詠めなくても、心が動けばOK

はじめはリズムに合わなくてもぜんぜん構いません。自分の心が動いた瞬間を、まずは素直な言葉で書いてみましょう。

俳句例 3

夕立や 濡れて帰れば 犬しっぽ

形式よりも「気持ち」が大切。五・七・五は後から整えていけばいいのです。

おすすめは、「一日一句」

「一日一句」が、感性を育ててくれます。手帳やスマホに、毎日ひとつだけ、短い句を書いてみましょう。それが、あなたの暮らしを言葉で記録する、あたらしい日課になります。慣れてきたら、俳句コンテストや地域の句会に応募してみるのも楽しいもの。「俳句検定」や「NBSアカデミー」など、学びの場も気軽に利用できます。

俳句は季節を詠むふりをして、そっと自分を見つめる行為なのかもしれません。

花のほころびにふと胸がゆるむ朝。雨音に誰かを思い出す夕暮れ。

そんな心の機微を17音に託す時間は、忙しさに流されそうな日々のなかで、自分に「おかえり」と言ってあげるような静かな居場所にもなります。

特別な才能がなくても書ける、あなただけの小さな物語。

心が動いた瞬間をそっと言葉にしてみませんか。

くらしのライブセミナー開催

五・七・五の世界を、もっと学びたい方へのご案内です。
季節を感じ、自分を表現する俳句の時間を、
あなたらしく楽しんでみませんか。

はじめての俳句作り
誰でも楽しめる俳句入門

講師からのメッセージ

俳句は、実は今の暮らしにそっと寄り添っています。日々の出来事をたった17文字の五・七・五に綴ることで、日本の美しさや心をあらためて感じることが出来ます。和の文化を見つめ直し、日常に小さな潤いと希望を見つけてみませんか?

セミナー講師

俳句作家
上野 貴子氏

NBSグループ「おしゃべりHAIKUの会」主宰
一般社団法人俳句文芸協会代表理事
イー・プランニング出版倶楽部所属

伊藤園お~いお茶新俳句大賞にて奨励賞受賞を契機に俳句を始める。その後、数々の賞を受賞。三軒茶屋を拠点とした「おしゃべりHAIKUの会」主宰。俳句記念日制定。俳句検定開設。毎日俳句日記を20年以上書き続けている。

著書「物思ひ」「俳句ダイアリー」「曇りのち晴れ」「おしゃべりケーキ物語」「はじめての俳句」他。電子書籍から「お誕生日俳句」「上野貴子俳句全集」「俳句検定問題集」など。